デービス Vs ガルシア(ボクシング)
無敗同士で高いKO率を誇る、ジャーボンティ・デービス 対 ライアン・ガルシアの一戦。
デービスがKO率93.1%、ガルシアがKO率82.6%。
どちらも驚異的な数字だが、それだけではない美しいと言っても良い鮮やかな『倒しっぷり』で共に大変人気がある。
その上ガルシアは若くハンサムで、デービスは素行は悪いが問答無用の破壊屋と見た目も対照的。
しかし世界が注目した、ファン待望のこの世紀の一戦は意外な結末を迎えた。
試合が始まり、リーチの長いガルシアがジャブを多用して前にでて始まった。
圧力を掛け、相手が反撃に出たところを得意のハンドスピードを生かしたカウンター狙いなのだろう。
しかし押し込まれているように見えたデービスの、得意な左スマッシュ一閃早くも2回にダウンを奪う。
それほど肉体的なダメ―ジはないように見えたが、この時点で私にはガルシアが勝つイメージは消えた。
その後もプレッシャーをかけるガルシアだが少し腰が引けているように見える。
つまりデービスの反撃を恐れて防御重視の試合運びになってしまった。
極端な言い方だが、ハンドスピードだけのガルシアと足さばき・下半身・上体・腕・頭これらすべてが連動して早いデービスにガルシアが得意なパンチを浴びせる確率はほとんどなかった。
7ラウンド、防御に徹したガルシアが落ち着きを取り戻し、再び攻撃に転じた時、パンチをかいくぐったデービスの左ボディーフックがガルシアのレバーに炸裂。2~3歩移動して膝をついた。
一見、追撃を避けるために膝をついたように見えたのだが・・・。
まるで、刀で切られたことに気づかず何歩か歩いて倒れる「時代劇映画のワンシーン」のような出来事。
客も解説陣も同様で、最初何が起きたのかわからない。
解説陣もガルシアが鼻血を出していたので顔面にパンチを貰ったのかと思っていたようだった。
それほど見事な、すれ違いざまの『居合い抜き』のような一撃。
それでも皆若いガルシアは立ち上がってくると思っていたようだが彼の心はすでに折れていた。
結局そのまま立ち上がらずレフリーがカウントアウトするのを待った。
デービスの見事なKO勝利。誰もこれほど力の差があるとは思っていなかった。
実際に拳を交えて見ないと判らない。ガルシアもすごいが、デービスの方が圧倒的にすごかったというしかない。
私はこの試合に井上尚弥の次戦を見たような気がする。
フルトンは体格的優位に自信を持っているようだが、井上尚弥の能力はデービスに匹敵する。
この試合同様、井上尚弥の左ボディーでフルトンは悶絶するだろう。
ナルバエス、ドネアといったスーパースターたちさえ、膝をついて悶絶したボディーフックでフルトンは沈む。
間違いない!