BOXING !!! 

ホルヘ・リナレス

来週行われるリナレス対ロマチェンコが興味深い。次戦が12戦目で3階級制覇の試合になるロマチェンコは、オリンピックのゴールドメダルを2度獲りプロ転向後には7戦目で2階級制覇という離れ業を見せ、強打者・テクニシャンことごとくねじ伏せてきた。試合途中で相手が戦意喪失するので評論家のジョー小泉さんは『ロマチェンコ勝ち』と命名している。
一方のリナレスは天才的スピードスター。特に至近距離の打ち合いであらゆる角度から高速パンチを繰り出す。かれのKOシーンほど美しいものはなく、居合の達人の様なすれ違いざまのパンチはホレボレとする。

だが問題はロマチェンコのフットワークである。リナレスも研究しているだろうが、これまでと全く異質のフットワークだから従来のボクサーは戸惑ってしまうのだ。彼のフットワークは、パンチを出しながら相手の左右を扇形に移動する。パンチを受けた相手が防御を固めた時にはすでに逆に移動していて、防御のない側からパンチを撃ち込む。これは才能ではなく努力である。彼の同門の選手もロマチェンコほどのスピードはないが同じようなスタイルで戦って好成績を収めている。ロマチェンコ勝ちはボクシング界の革命なのだ。

あのメイウェザーが『L字ブロック』・『ショルダーブロック』で完璧な防御スタイルを築き無敗を誇った。ロマチェンコのスタイルは攻防兼備の扇形フットワークで、いずれこれがボクシングの一つのスタイルになるだろう。

さてリナレスはどう迎え撃つか?
リーチを生かし遠い距離から打ち込み、常にリング中央で戦うこと。好戦的なロマチェンコが入ってくるところを狙い撃ちだ。決してロープを背にしてはいけないロープを背にしたらロマチェンコのフットワークでコーナーに追いつめられたのと同じ状態に陥る。
ロマチェンコはリナレスの周りを扇状に回る。リナレスは無理に追わず、自分の足も常に左右どちらにも回転できるような状態で戦うこと。5回まで大きな被弾なく戦えれば徐々に彼の動きを見切ることができるだろう。そうなればリナレスのパンチスピードが生きる。頑張れリナレス!

 

カネロ・アルバレス

ゴロフキンが久々のKO防衛。久々といっても超強豪相手の連戦だから致しかたない。
しかし本来相手だったカネロ・アルバレスには失望した。
コットに勝利しミドル級のタイトルを手に入れ、自らゴロフキンに挑戦状をたたきつけたにもかかわらず、2016年に訪れたチャンスはタイトルを放棄するという腰砕けでゴロフキンとの対戦を避けた、というより逃げた。この時にもカネロの評価は傷ついた。この時点では誰の眼にもゴロフキン有利に見えたので、プロモーター(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)サイドの意向があったのかもしれない。

よく2017年9月、やっとゴロフキンとの対戦を果たしたが、負けという評価の方が多い引き分けという結果に、本人は自分の勝だと息巻いて再選を迫った。

2018年5月に再選が決まっていたカネロだが、今度は禁止薬物の陽性反応が出て試合中止という事態に至る。カネロの薬物違反はかねてより噂され、今回は対戦を避けるために薬物検査を受けたといわれている。

天性の才能あるボクサーだが、いくら強くともゴロフキン相手に相次ぐ契約違反・規約違反には大いに失望している。如何にメキシコの英雄と言えどスポーツマンシップにかける。
ゴールデンボーイ・プロモーションズのオスカーデラホーヤもそろそろ縁の切り時ではないだろうか。

 


コメント(1)

  1. reporterより 

    う~ん、やっぱロマチェンコは強かった、というしかないですね。右ストレートで尻もちをつくダウンを奪ったリナレスですが後が続かない。リナレスは右わき腹・肋骨に致命的な弱点を抱えているのかもしれません。もしそうなら引退も考えなくちゃならない。でもよく戦いました、お疲れ様。

コメントする

投稿前の注意

  • 他の人に不快感を与える投稿や誹謗中傷するようなコメントはおやめください。
  • コメントを投稿する前によく読みなおして投稿しましょう。
  • コメント欄に入力できる文字数は500文字までとなります。