怪物・井上尚弥の進化を願う

井上尚弥選手が1ラウンドKOで3階級制覇。その怪物ぶりを世界にお披露目した。

とはいえ、今回の対戦相手ジェイミー・マクドネル選手が減量の失敗だろう、まるで半病人のようだったので、正直言って手放しで井上選手を讃えることはできない。ここでは控えよう。

出入りのスピードと的確でパワフルなパンチで、攻撃も防御も非常に高いレベルで兼ね備えている選手なので、従来のボクシングの基準で言えば怪物と云う評価は当然である。相手のパンチはもらわない、自分のパンチはブロックの上からでも効くのだから対戦相手はたまったものではない。

だが、怪物・井上選手だからこそ期待したいことがある。

是が非でもロマチェンコのステップ(&ボディーバランス)を研究・修得して欲しいのだ。
従来型の天才ボクサー、ホルヘ・リナレスをほぼ完ぺきに打ち破ったロマチェンコの特徴はステップワークにある。一言で云えば、前後でなく左右に素早く動き、相手がパンチを打てない位置と距離に自分を置き、自在に自分のパンチを打ち込む。
井上選手のような(リナレス・メイウェザー等も)『攻防兼備』ではなく『完璧な攻守一体』のボクシングであり、ロマチェンコのもたらしたこの革命は今後のボクシングスタイルを一変させる。

リナレスや井上尚弥選手の素質がロマチェンコに劣るとは思えない。違いはロマチェンコ陣営がボクシングのシステム(考え方)を進化させたということなのだ。
井上選手は強い。怪物と呼ばれるにふさわしい。だが今後必ずロマチェンコ型の挑戦者が現れる。新しいシステムに対抗するには自分も新しいシステムを備えなければ敗北は火を見るより明らか。

新しいシステムを搭載するのに邪魔になるのは従来システムに固執する旧い指導者である。井上尚弥選手が自らその決断が出来るかどうか?それがカギとなるだろう。

(それにしても、アマチュア戦績が397戦396勝1敗で五輪金メダル2個という、驚異のボクサーのスタイルを研究しないプロボクシング界の旧弊・怠慢ぶりには驚かされる)

 


コメント(1)

  1. reporterより 

    WBSSが開催され井上尚弥選手も参加するようですが、同じWBAのスーパーチャンピオンであるライアン・バーネットが一番強敵に見えます。なんとなく井上尚弥選手と同じタイプの選手に見えるのでそう見えるのでしょう。ただパンチ力は井上尚弥ですからその他が互角でも井上尚弥選手の優位は動かないと思います。
    もう一人のチャンピオンエマニュエル・ロドリゲスも素晴らしく、バーネットが対戦を避けたといわれるほど。まあ手数が多くパンチが強い。この手数の多さに井上が苦しむかどうか?実は井上選手の一番いいところはフットワークとパンチの見切り、つまり防御力なので大丈夫だと思うのですが、試合が長引けば苦戦するかも。

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