2018年12月22日

検察・司法取引

ゴーン事件の投稿が続くがお許し願いたい。

 ゴーン氏の逮捕容疑は、最初は、役員報酬を過少記載した『金融商品取引法違反』だったと思う。同じ容疑で拘留を延期していて、今回再度拘留延期を申請し認められなかったことで、新たに『特別背任』で逮捕して拘留期間を延期した。ということは最初の件は『別件逮捕』だったということになる。

 別件逮捕はこれまでいろいろと問題になっているが、基本的にはその別件が有罪立証されれば、まあ正当な捜査のうちだろうというところの落ちつく可能性が高いだろう。しかし最初の逮捕が無罪であれば、その後の捜査は違法となり、別件逮捕して集められた証拠も採用されず本来の件も無罪になる判例が多い。要するに違法捜査ということだ。

 検察が拘留延期を棄却され、慌てて新たな『特別背任』で逮捕して拘留期間を伸ばしたということは、最初の『金融商品取引法違反』に自信があるのか、それとも遮二無二拘留期間を延ばそうと、追い詰められて『特別背任』を持ち出したのかどちらだろう

 この『金融商品取引法違反』はもらってもいない退職後の業務委託に関わる報酬の同意契約で、これを『現時点の所得』と決めつけるのは限りなく不可能に近いだろう。『金融商品取引法違反』が無罪になれば、今回の『特別背任』は違法な別件逮捕で無罪になる。そうなれば日本の司法は大失態である。

 それだけ大きなリスクを抱えた検察だが、『特別背任』でもっと大きなリスクを抱えたように見える。検察の言う『特別背任』は、「ゴーン氏がデリバティブを加えて持っていた債権が、リーマンショックで暴落し損失補填金を抱えていた。それを日産に買い取らせた」というものだが、二つの問題点を抱えている。一つは「日産に損失を与える意図の有無」で、もう一つは『時効』の問題である。

 ゴーン氏の側は、「この譲渡した債権は結果的に利益が出ている」と主張している。もしこれが事実であれば、これを犯罪に問うことは難しいだろう。
 時効について検察は、「ゴーン氏は海外にいることが多い。その期間は時効期間に入らないので時効は成立しない」と言っているようだが、そもそも「海外にいる期間の不算入」は「犯罪の隠ぺい・捜査からの逃亡」という目的をもった『海外逃亡』であり、ゴーン氏のように「世界中を飛び回っていて、なおかつ居場所が常に明らか」な人物の海外在留期間を『逃亡期間』と判断できるのだろうか?これまた大いに問題があると思う。

 

 検察は『リニア談合』を挙げて自信を持ったかも知れないが、あの件も『歪な司法取引』と呼んでいいもので、あれで日本の大型公共事業で大手がタッグを組むことが不可能になった。大きな損失である。
 今回『司法取引』があったと言いながらその内容は明らかになっていないが、検察は二匹目のドジョウを狙ったのだろう。

 今回の事件は、「悪意を持つ不正の『当事者』が自身の告発を免れる意図をもってする『司法取引』」のように見えるのだ。もしこのような形の『司法取引』が常態化するなら、「自らが会社の上司を巻き込んで行った不正で、『司法取引』によって上司の失脚を図る」事が可能になる。これが今回の日産の『司法取引』の実態ではないかと私は疑っている。

検察は手柄欲しさに、日産の日本人役員の愚かな奸計を利用して、冤罪をでっちあげようとしているのではないか?


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