尚弥 Vs ネリ
やはりネリは非常識。
「井上は言われているほど強くない。対戦相手のレベルが低かっただけ。」
この発言は井上尚弥をそしてその対戦相手をも貶める無智で下衆な発言。
「海外ボクサーはあの程度のお頭なのだ」そう思わせるボクシング界の敵。
井上の相手はそうそうたる選手ばかりだが、ネリが知らないだけなのだろう。
尚弥の対戦相手はネリに怒りを覚えるだろうが、相手にしてもしょうがない。
問題はボクサーとしてのネリ。はっきり言って強い。相当強い。
殆どの人が「モンスター尚弥の楽勝」と言い切っているがそれは間違い。
あのパンチの回転力と的確さはまるでタイソンを彷彿とさせる。脅威である。
「神の左」と言われた中山選手を、
「ドーピングと体重超過」というアドバンテージの下ではあるが、
あれほど鮮やかにKOしてみせた彼のボクシングセンスは決して侮れない。
一見大降りに見えるネリのパンチだが、
よほど体幹が強いのだろう一発当てればその後雨あられと強打が降りそそぐ。
そして優れた動体視力で相手のスキを見つけ、正確に打ち込んでくる。
山中選手は強すぎる左パンチに重きを置きすぎた。
接近戦で攻撃に重きを置くと防御に穴ができる、そこを見事に狙われた。
今回ネリは「井上には欠点がある。それを見つけた私が勝つ」と言っているが、
聞けば、どうやら山中選手と同じような「防御のスキ」を指摘しているようだ。
だがそれは彼の希望的観測でしかないだろう。
すべてのボクサーはパンチを出せばそこにスキができる。
ボクシングというスポーツの持つ避けがたいリスクであり面白さでもあるのだ。
ネリは山中選手の時と同じようにそこをついて勝てると踏んでいるのだろう。
そしてその可能性はボクシングをやる以上誰も否定でいない。
事実ネリはそうやって36戦35勝27KOという素晴らしい成績を上げてきている。
ただネリに欠けているのは『モンスター井上』と対戦していないという事実である。
そこに限りない興味を持つボクシングファンが5月6日を心待ちにしている。
フル回転のネリの畳みかけるパンチの嵐に尚弥が屈するかもしれない。
若しくはパヤノ戦のように、最初の一撃でモンスター井上のKO勝利もある。
どちらも「自分のパンチさえ当たれば勝てる」と踏んでいる。
特にネリはそうだろう。愚かではあるが自信満々なのはネリの方だろう。
井上はロープ際で受け身にならないよう気を付けなければならない。
勝敗を分けるのはネリの連打を封じること。その一点にある
攻めに飛び込んでくるネリの足は、他の選手と比べ深くしつこい。
そこさえ凌げば、他のすべての面において井上尚弥の方が力は上。
あまりの強打で見逃されがちだが、モンスターは防御こそ最強なのだ。
東京ドームで不覚を取ったのはあの無類の強打を誇ったマイクタイソン。
今回タイソン役を演じるのはどう見てもネリの方だと思うのだが・・・。