井上尚弥 Vs カシメロ

4月25日にラスベガスで行われるバンタム級タイトルマッチ、井上尚弥Vsカシメロが興味深い。

井上尚弥は攻撃・防御・頭脳・タフネス全て超一流でほぼ完ぺきなボクサーである。強敵と思われたロドリゲスを一方的に沈め、5階級制覇のレジェンド・強打のドネアとの殴り合いを制して頂点に上り詰めた。

 

多くの人が、モンスター井上の強打に注目するが、本当に超一流なのは彼の防御力である。攻撃力も超一流、ロドリゲス戦で見せた戦略(頭脳)も一流。そしてドネアにもらった強打に耐えたタフネスぶりも一流であることを証明した。だがタフネスに超一流はない。数多く被弾すれば必ず倒される。だから当てさせない技術が絶対に必要なのである。

 

井上尚弥は世界チャンピオンになってからほとんどの試合でまともなパンチをもらっていない。唯一の例外がドネアからもらった1発だった。あのパンチを2発3発ともらったら間違いなく井上でもマットに沈む。

 

 次戦のカシメロは強敵である。彼も急速に成長してきた選手だ。その背後にはあのパッキャオがいる。
パッキャオの強さ、つまりカシメロの強さは、踏み込みの速さを利用した予測を超えるパンチの速さと破壊力である。ただの速さだけなら井上尚弥には当たらない。
 だが踏み込みの速さと同時に繰り出す早いパンチをもつパッキャオは、あの天才ボクサー、オスカー・デラホーヤを一方的に打ちのめした。
 負けなしで引退して、今も生きる伝説となっているメイウェザーが一時期引退した。それは無類のタフガイであるアントニオ・マルガリートとの対戦から逃げるためだったとうわさされている。しかしパッキャオはそのマルガリートまで一方的に打ちのめしてしまった。自分より重い階級の選手を軽々と血祭りにあげた。それが彼の踏み込みの速さを利用した攻撃力である。

 

 ビデオを見るとカシメロもパッキャオに学んだのだろう、同じようなパンチを持っている。たいていの選手はこの踏み込みの速さと距離に惑わされ被弾する。井上選手にとって問題はここにある。

これまで経験したことのない踏み込みの速さと破壊力あるパンチにどう対処するか?
唯一パッキャオに対抗できたのはメイウェザーだ。かれはパッキャオの対極にあるディフェンスの天才である。L字ブロックで腹、肩で顔面をブロックして全くパンチを当てさせない。だがこの防御法はメイウェザーの身体をもってしかできない。

 

となれば闘い方は二つ。
一つは踏み込みを消すために徹底的に接近戦で殴り勝つ。
もう一つは彼の踏み込みを許す距離で彼より先に踏み込んで叩きのめす。
同じタイミングで打てばパンチ力は井上尚弥が上だ。
これらを早い回から繰り出して機先を制すれば勝利の確率は上がるだろう。

井上尚弥のボクシングセンスならどちらでもやれそうである。
ただしカシメロもまた井上同様、非常に当て感のいいボクサーなので絶対に後手に回らないようなボクシングをしなければならない。
それなら最初から接近戦で撃ち合う方が井上勝利の確率は高そうである。

まあ万能型で頭のいい井上君だ。何にでも対応できるだろう。
又彼には不可能を可能にする精神力を持つ村田諒太もついている。
素晴らしいファイトと尚弥君の快勝を期待している。


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