村田君を見誤っていた。申し訳ない
御見それしました。
村田諒太君、WBAミドル級チャンピオン復帰おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
また見事な戦いぶりに感動いたしました、ありがとうございます。
正直に言えば、村田君のボクシングにはあまり興味はなかった。
チャンピオンになった時の『WBAと所属する帝拳事務と相手陣営』の怪しげな動きに興味をそがれたのと、「彼のスタイルでは世界に通用しない」と思い、前回の試合前も「負け試合の後でコメントはしたくない」とブログにも取りあげなかった。
今回も取り上げなかった。つまり負け試合だろうと予想していた。解説の井上尚弥君も「前回試合から9カ月では大きくスタイルを変えるのは難しい」と村田不利をにおわせていた。ただ「村田選手は本当に頭がいいので」とも言っていた。
そう、彼の一番いいところと言えば『クレバー』なところだ。
日本人には珍しくミドル級を張れる体力も技術もあるが、化け物ような連中が跋扈しているミドル級では、せめて体力・技術でどこか一部に図抜けた才能がなければとても太刀打ちできない。
「いくら頭脳で図抜けた才能が有ってもそこは『格闘技の世界』、化け物たちに立ち向かうには限界があるだろう。」
確かにボクシングには狙った番狂わせや、たまたま当たったラッキーパンチで勝敗が覆る場合はいくらでもある。しかしその番狂わせもまた「運よく自分の図抜けた才能が発揮できた」という結果である。
体幹・柔軟性・動体視力・パンチ力・コンビネーション・スピード・フットワーク・タフネス・スタミナこれらのどれか一つでも図抜けたものがあれば、それを生かして勝てるという合理的なものである。
残念ながら村田選手には体力技術面でミドル級のトップクラスと渡り合う力はない。この判断は試合後の今も変わっていない。
村田君がチャンピオンを上回るのはパンチ力でわずか上回るくらい。
その状況で、超一流とまではいかないがスピード・柔軟性・フットワークで勝るチャンピオンのロブ・ブラントを、村田君は2回TKOで下して勝った。
彼の勝因は『頭脳』と『精神力』だろう。ボクサーなら闘争心は持っている。チャンピオンとなれば誰しも他を圧する『精神力』を持っている。そしてこの『精神力』を持ちだすと、日本人には全てを『精神論』に帰結させる悪癖がある。
大抵はどうにも勝てそうにない相手に対峙した時の『無責任な激励』に終わって惨敗を喫するのが常である。
しかし村田諒太は勝った。
昔から真剣勝負で「皮を切らせて肉を断つ。肉を切らせて骨を切る」という言葉がある。彼は命がけでこれを実行した。
そして彼の頭脳は、「この試合は『肉を切らせて骨を断つ』戦法で、3回までに全力を注ぎ決着をつける。
彼の頭脳が『これが唯一の勝利への道」という結論を導き出した。
そしてそれを命がけで実行した。
正直に言おう。勝負やスポーツで『精神論』で勝った試合は始めてみた。
それだけ村田諒太選手の『精神力』は素晴らしかった。その『精神力』で試合を勝つ戦法を見出した『頭脳』もまた素晴らしかった。
対戦相手のロブ・ブラントは前回の試合で村田君を舐めていて、パンチ力では劣っているのに打撃戦に応じた。「ブラントの『頭脳』はそれで勝てると計算間違いを起こした」幸運にも恵まれた。
だが、相手の失策に恵まれたとはいえ、結果は村田選手の人間力の圧倒的勝利。完璧な勝利である。
試合は、最初から前に出て、スピード豊かなコンビネーションパンチを繰り出すブラントに対し、村田は被弾覚悟で相手の打ち終わりにパンチを出し続けた。
「簡単には変わらない」と井上も言っていたスタイルだが、わずかだが、確かに全ての面で変わっていた。右ストレート一本の攻撃は多彩になりボディーも効果的だった。攻撃姿勢を崩さず連続してパンチ出せるようになっていた。
【1ラウンド】相手のパンチを貰いながらも、村田のボディーが入り、戸惑うブラント。これまでにない上下の打ち分けに余裕の表情だったブラントの顔色が変わる。
【2ラウンド】1ラウンドに続いて村田のボディーが入る。中盤ついに伝家の宝刀右ストレートが入る。これで戦況は一挙に村田に傾く。これまで見られなかったコンビネーションパンチが決まりブラントダウン。そこから後は村田の全力を絞り出す猛攻。「もしここで倒せなかったら逆転されるのではないか?」と心配になるほど力を振り絞った攻撃でついにレフリーストップ(TKO)。
試合後の村田君の顔を見ると、たった2ラウンドにもかかわらずかなりパンチを受けた後が見られた。
ブラントにパンチ力があれば危険な戦法だが、蟻の一穴をついた村田君の捨て身の戦法で快勝!
改良中のスタイルが完成すれば、トップ戦線に躍り出る可能も見えてきた感動的な試合でした。
いやー凄かった!見事!そして脱帽! ボクサーとして稀有なタイプのチャンピオンの誕生です。
好漢・村田の更なる飛躍を期待します。
村田君「モティベーションを保てる相手(強豪)と試合したい」
チョ・チョッと待ってくれ。
もう少し時間をかけて、今回取り組んだ柔軟性のある戦力を強化してからにしてくれ。頼む!
ちょっと言い訳。井岡君は一見下手そうに見えるけど最高のテクニシャンです。かなり前左ボディー一発で相手を悶絶させたとき「軽量級ではありえない」と驚きました。それと村田君に引けを取らないクレバーさを持っています。
で、ブログに書かなかったのは『君が代』斉唱で全く口も動かさないから。口パク位しろよ~。