2019年1月29日

顔は変わる

人間の顔は短期間で驚くほど変わる事がある。短期間だから顔が変わるわけではなく表情なのだろうけど別人のようになる。

 旧聞に属するが『耐震偽装事件』というのがあったのを覚えているだろうか?
 ある日突然、分譲マンションの建設・販売を業とする『ヒューザー』という会社が『耐震基準』を満たしていないマンションを違法販売しているというニュースが流れた。

 マスコミは一斉に社長の小島進氏を「耐震偽装を指示した詐欺犯」と決めつけ大々的に報道。しかし結果的にこの『偽装』は設計を請け負った姉歯次郎が強度計算ソフトの欠点に気づき結果的に違法な設計を行ってしまったという単独犯。
 しかも耐震強度不足とされたヒューザーのマンションは東日本大震災でもびくともせず耐震性は不足していなかったことが後に確認された。だがその時のはもうすでにヒューザーは倒産していた。

 

 さて問題は、この事件を告発した『イーホームズ』という民間の(建築)確認検査機関。業務は、行政が行う建築確認申請の許可を事前審査する企業。なんのことはない、自分達(イーホームズ)が設計図を調べ、「耐震基準を満たしていると判定して自治体に報告した」彼等こそが耐震偽装を見抜けなかった張本人の間抜けな犯罪助長企業なのだ。

イーホームズ社長・藤田東吾が、自社の過失責任を「自分で公開告発することでヒューザーに罪を負わせることを目論んだ」卑劣な誣告(虚偽告訴)事件というのが真相だった。

ヒューザーとマンション購入者は被害者である。姉歯は無作為の犯罪者である。
その後ヒューザーは身ぐるみ剥がれて倒産。小島社長の悔しさを思うと同情を禁じ得ない。
(明らかに冤罪なのだが、小島社長は何の保証も受けられなかったようだ。なぜ?恐ろしい!)

 

『イーホームズ』の藤田本人も結局有罪となるのだが、この告発の過程で、端正だった彼の顔が醜く歪んでいく様に驚いた。家柄もよく優秀な若者だったのだろう、事業家として将来を嘱望されていたはずだ。だが道を踏み外した。自分の身を守るのに必死だったのだろうが「無実の人に罪を着せる」卑しさが如実に顔に現れていた。

 この事件でもマスコミの暴力的振る舞いには肝を冷やした。
 最初から、誰が見ても不自然な主張をする藤田を「犯罪を告発した正義の味方」のように扱い、無罪を主張する小島を、最初から執拗に「耐震偽装を知りながらマンションを販売した詐欺犯」扱いするマスコミの『常識』は最後まで覆らなかった。

彼らの度外れた『常識』に怒りがこみ上げたがどうしようもない。呆れ果ているうちに長い時が過ぎてしまった。
(この事件の渦中で姉歯設計士の妻が自殺している。恐ろしい)

 

 今一人、随分と人相の変わった御仁がいる。日産の社長になった西川広人氏。カルロスゴーン氏を告発して社長に収まるまでは悪魔でも乗り移っていたのか、実に溌溂としていたが、今はまるで、どこにでもいる田舎のおじさんみたいになっている。

いやいや、他人ごとじゃない。たまには鏡を見て我が身を振り返ろう。


コメント(3)

  1. 美しい老婆より 

    鏡は出来る限り見ない方が良いです。
    己の老いを確認して気が滅入るだけです。
    ショーウインドウに移る己の姿も見ない方が良いです。
    ガマの油のガマのように汗がたらりと出てきますので。

  2. reporterより 

    ああ、美しかった私の顔が・・・。
    人生とは悲しいものですね。

  3. reporterより 

    顔の変わった人がもう一人。愛媛県知事・中村時弘氏。どのような経緯があるのか知らないが、突然『県職員のメモ』を持ち出し『加計学園と安倍総理の癒着』を印象付けようと随分しつこく各所に働きかけた。加計学園の誘致を働き掛けた当事者で安倍総理の関与を一蹴した加戸守行・前知事は中村氏を後継者に指名した恩人である。その恩人に弓を弾いてまで何をやりたかったのか謎のまま。
    その中村氏を月刊『Hanada』で告発下のが長谷川学氏。いやあ知事になる前の松山市長時代に、産業廃棄物事業者の選定で随分と怪しいことをしでかしています。

    その中村時弘氏が99年に松山市長になる時と、20年後の現在のお顔がねえ、年を経たという以上に、随分と貧相に見えますなあ。行いがお顔に出ているのでしょうか?

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