反則(?)気味 音楽小説やジャズ漫画

クラシックピアノに取り組む若者達を描いた小説『蜜蜂と音雷』、
ジャズに青春のすべてをかける漫画『BLUE GIANT』が人気を集めている。


まあ「音楽に関わる人間の人生模様を描く」といったええ加減なくくりでまとめちゃうと別にどうでもいいのかもしれんが引っかかる。

登場人物たちが奏でる音楽が人々の魂を打ちふるわせ至高の幸福を届ける様を克明に描く、つまり音楽という芸術を文字と画像でみせるのだ。
正直に言えば、どちらも夢中で読んだ(BLUE GIANT)はまだ掲載中)。おもしろいのである。
しかも作中で出てくる音楽を私は聞いたこともないし感動したこともないのにである。
反則である!宣言する!恐らく私はこの後、この手の小説も漫画も読まないし見ないだろう。

音の出ないメディアで音楽を説明する、作家の努力は尊敬するが彼らの戯れに付き合うのは一度きりでいい。
彼らの冒険も一度だけで新たな道を探すべきだ。二度やると音楽(家)そのものを冒涜することになるだろう。


文章で見事に情景を描くことはできるだろう。漫画ならもっと自由に画像で表現できるだろう。
彼らの力量があれば音は描けるだろう。だが『音楽』という芸術まで描けるはずがない。
音楽という芸術をわき役で描くのならまだいいが主役にするのはあまりにも傲慢すぎる。

描けないものを描いて見せる、それは詐欺だ。

 

かろうじて可能性があるのは映画だが、それでも映画の中に「誰もが感動に震える稀有な演奏」を完璧に納めることなど不可能。
音楽や楽器をテーマに取り上げるなというのではない。音楽という芸術を評論以外の小説や漫画という音の出ないメディアで語る愚は止めよということだ。


死んだ人や守護霊を呼び出し喋らせる『イタコ芸術・宗教』に通じる胡散臭さはもう御免こうむりたい。


コメント(1)

  1. reporterより 

    忘れてた!『坂道のアポロン』も夢中で見た。だけどこちらは若者達の青春群像を描いた漫画でありアニメだった。ジャズは彼らの人生を彩る多くの背景の一つという感じが強い。とてもいい作品でした。

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